松岡圭祐 『万能鑑定士Qの事件簿II』

547冊目！

万能鑑定士Qの事件簿 II 力士シール篇・下巻 松岡 圭祐 （角川文庫）　角川書店 2010-04-24 by G-Tools

（英題：CASE - FILES OF ALL-ROUND APPRAISER Q VOL . 2）

日本がハイパーインフレに陥り、大混乱する場面から始まる2巻。読みながら、5年前の東日本大震災を思い出しました。都心で多くの帰宅困難者が発生し、物流が滞って生活必需品が品薄に。テレビをつけても、「この国はどうなるんだ・・・」と誰もが頭を抱えるばかり。

インフレ、デフレ、デノミといった言葉にイマイチなじみがなかったのですが、作中の現象を見ているうちにイメージがわいてきました。なるほど、このシリーズは色々と勉強になる仕掛けが散りばめられています。

読み進めていくうち、残り20ページまでまったく事件が解決しそうになく、「こんな少ないページで種明かしできるのか？」とハラハラしました。その分、結末の衝撃は大きかったです。読者の関心を引きつけて強烈なエンディングに誘導する作者の力量に脱帽。

→著者の他の作品：
　　・『ミッキーマウスの憂鬱』　（2011/07/04の記事）

→「万能鑑定士Q」シリーズ：
　　・ I　力士シール篇・上巻　（2016/04/29の記事）
　　・II　力士シール篇・下巻
　　・III　音楽プロデューサー詐欺事件　（2018/01/10の記事）
　　・IV　映画ポスター連続放火事件 篇　（2018/03/16の記事）
　　・V　パリ 異物混入事件 篇　（2018/09/16の記事）
　　・VI　万能贋作士事件 篇　（2019/03/15の記事）
　　・VII　ファッション出版社と逆錬金術 篇　（2019/04/22の記事）
　　・VIII　台湾と奇跡の浄水器 篇　（2019/09/28の記事）
　　・IX　モナ・リザの贋作 篇　（2019/11/16の記事）
　　・X　複製された印鑑 篇　（2020/06/23の記事）
　　・XI　京都 願いがかなう寺 篇　（2020/06/30の記事）
　　・XII　大阪 太陽の塔 篇　（2020/09/10の記事）

（F市図書館で借りて・背表紙幅：1.1cm）

2016/05/14 (Sat) 【角川文庫】