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流れ星による読書日記。大学在学中に200冊を読破。現在のべ900冊目に突入中! 目指すは…1000冊?
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文学部在学中に223冊を読破。

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496冊目!

クリスマス・カロル クリスマス・カロル

ディケンズ Charles J. Dickens
訳:村岡 花子

(新潮文庫) 新潮社 1952-11

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季節外れだけど、図書館で見つけて読まずにいられませんでした。

何度も映像化されてストーリーを知っていたのに、よく考えたら原作をきちんと読んだことがありません。朝ドラでブームになった村岡さんの訳というのも、無視できなかった一因かも。

現在の幽霊がスクルージに見せたクリスマスの飾りや食べものの描写。村岡さんが訳した当時は、おそらくクリスマスの意味や祝い方を知っている日本人が少なかったはずです。訳者は今ならカタカナ語でそのまま訳しても通じるであろう部分を、丁寧な日本語に置き換えています。

村岡さんはあとがきで「クリスマスの季節になると必ずこの作品を読む」と記していました。日本の文化にはない心あたたかな季節や習慣を、原文で触れた本人自身が大変気に入っていたことがわかる点です。そして、まだクリスマスという行事を目にしたことのない人々にも、その魅力を精一杯伝えようと尽力なさったのだと思います。

→この本について触れている本:
  ・『キリスト教文学を学ぶ人のために』 (2013/03/07の記事

(F市図書館で借りて・背表紙幅:0.8cm)

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330冊目!

キリスト教文学を学ぶ人のために キリスト教文学を学ぶ人のために
安森 敏隆
吉海 直人
杉野 徹

世界思想社 2002-09

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プロテスタント系の学者・研究者を中心に、さまざまな角度からキリスト教文学について論じた論文をまとめた本です。

そもそも「キリスト教文学」とはどのように定義されるのか。日本文学ではキリスト教が歴史的にどう関わってきたのか。著名な作品の読み方のコツは、など手引き書としての内容は十分です。

よく考えると、カトリックの立場からこうした研究をしている人の名前をあまり聞いたことがありません。聖書や文学作品をじっくり読んで分析する動きは、プロテスタントの方がさかんな印象です。

(C市図書館で借りて・背表紙幅:1.9cm)

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238冊目!

4422212060 ルルドの奇跡-聖母の出現と病気の治癒
エリザベート・クラヴリ 船本 弘毅 監修

(「知の再発見」双書 146)
創元社 2010-01-16


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(原題:Le monde de Lourdes)

病気に悩む彼に、「カトリックではどんなお祈りをするのか」と尋ねられ、ルルドの聖母マリアに取り次ぐことを思い出したのがきっかけで借りてきました。

ルルドの奇跡については、高校の宗教の授業で習ったことがあります。当時の内容を思い出しつつ、豊富な写真や資料に目を通すことができました。

今から150年ほど前のフランス・ルルドで、貧しく無学だった少女の前に聖母マリアが出現するという出来事が起こります。マリアは少女の前に18回出現し、舞台となった洞窟では泉が湧き出したり、病気が治ったりと不思議なことが続きました。

この本は一般向けでわかりやすい一方、写真や参考資料も豊富に掲載されています。また、一連の出来事を奇跡とする意見と、批判的な意見・あるいは中立的な立場をとる意見の概要も示されている点は重要です。おそらく、ここまで踏み込んだ内容の本はカトリックの出版社からは出せないのでは。

また、現代のルルドの町の姿や、巡礼に訪れる人々の変化についても触れています。ルルドに関してだけでなく、聖母マリア信仰についても有益な情報がまとめられている1冊です。(ただし、本文中に紹介されている著作は日本語訳がないようです。本格的に研究に使うなら、フランス語原文を参照する必要がありそうです)

(F市図書館で借りて・背表紙幅:1.1cm)

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231冊目!

ふしぎなキリスト教 ふしぎなキリスト教
橋爪 大三郎 大澤 真幸
講談社 2011-05-18


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本屋に並び始めたころから、読みたくてたまらなかった本です。図書館で予約待ちして、やっと順番が回ってきました。

現代社会について考えるには、日本人はもっと近代をつくった西洋について知らなければならない。いや、西洋をつくったキリスト教について知らなければならない、というのがこの本の立場です。

「しばしば言われる『グローバリゼーション』も含めて、近代化というのは、見方によっては地球的・人類的な規模の西洋化みたいなところがあります。ですから、西洋世界というものがいかにつくられたかを知ることは、現代を知るうえでも最も重要なカギになる。その西洋世界の根幹にキリスト教があったのは明らかです」 (p. 242)

大澤さんが質問し、橋爪さんが答えるという対談形式で進むので、とても説明がわかりやすくなっています。宗教学のこむずかしい専門書を読むより、一般の人に手に取りやすいよう編集されていると思います。(目次を見るとわかりますが、テーマを細かく絞りながら対談を進めているので、回り道することもありません)

「偶像崇拝がいけないのは、偶像だからではない。偶像をつくったのが人間だからです。人間が自分自身をあがめているというところが、偶像崇拝の最もいけない点です」 (p. 88 赤字部分は、本文では傍点)

上に引用した部分もそうですが、信者や専門家でもうまく説明できない部分をざっくり解説してくれていて、痛快でした。一神教ゆえに生じる矛盾や、ユダヤ教・イスラム教とも違う特殊性がはっきりわかりました。

個人的には、最後に挙げられていたこれからの社会についての分析が面白かったです。大学のころに受講した<比較文明論>の内容を思い出しました。

(F市図書館で借りて・背表紙幅:1.7cm)

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215冊目!

ダ・ヴィンチ・コード最終章(FINAL) ダ・ヴィンチ・コード最終章(FINAL)
花山 空勝
ウィズダムブック社 2005-07


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図書館で見つけ、ぱらぱらとめくってみたらおもしろそうだったんだけど…借りなきゃよかった。

「ダ・ヴィンチの暗号」ブームに便乗して出版されたとしか思えず、中身が薄っぺらでおすすめできません。著者はあくまでも趣味として古代史を研究しているだけなので、専門家からは相手にもされないでしょう。

この内容で本になったのが信じられないくらいです。

「古代ユダヤの失われた10部族は、実は日本人の祖先だった」とか、「最澄や空海は仏教の教えを日本に伝えるだけでなく、日本にユダヤの国を再びつくることを目的としていた」とか。。。トンデモ話が多いです。

その割には、参考文献の数が少なすぎます。第一、海外の文献を全部日本語訳に頼っている時点でアヤシい。聖書だけでもいろいろな訳が使えるはずだし、写本ごとに言い回しが微妙に違うこともあるので、本当ならその点も踏まえて慎重に検証すべきです。

(私は学生時代、「外国語文学の研究をするなら、必ず原文を読め」と教わってきました。先生のおっしゃっていた意味がよくわかりました)

ただの楽しみだけで読むならおもしろいかもしれませんが、ほかに得るものはない1冊でした。(こういう本も珍しい)

→関連の本:
  ・ブラウン 『ダ・ヴィンチ・コード』 (2007/12/05の記事

(F市図書館で借りて・背表紙幅:2.0cm)

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119冊目!

女の一生〈1部〉 女の一生〈1部〉キクの場合
遠藤 周作

(新潮文庫) 新潮社 1986-03


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ミッション系の高校に通っていた頃、研修旅行で長崎を訪れたことがあります。直前の「宗教」の授業で、「浦上四番崩れ」について学び、先生が参考資料として挙げていたのがこの本でした。

(※「浦上四番崩れ」…明治政府発足直後、長崎の隠れキリシタンたちが一斉に検挙され、流罪・迫害された事件)

当時はキリスト教に興味を持ち始めていた頃で、先生からお借りして夢中で読んだのを覚えています。主人公のキクが、浦上天主堂のマリア像にたびたび話しかける場面が印象的でした。実際にそのマリア像を見たとき、なぜかしばらく動けませんでした…。

大河ドラマ「龍馬伝」の第3部に入って、舞台の中心が長崎になりました。テレビ画面に映る浦上天主堂を見て、この作品のことを思い出し、もう一度読みたくなって本屋で手に取りました。
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大まかなあらすじは覚えていたけれど、5年以上間隔が空いていたせいか新鮮な感覚で読めたと思います。時代背景や人々の交錯する思いが細かく読み取れるようになって、後半のクライマックス部分は予想以上に心に響きました。

時代の流れに翻弄される愛、家族に反対される未来、貧しく労働が続く生活、病で次第に動かなくなる体…。

キクの姿と自分を重ねてしまうのは、傲慢(ごうまん)でしょうか?

たび重なる障害に耐えながら、たった一人の愛する人のために生きようとした主人公。そのひたむきな姿勢は、まさに女性だからこそ描ける人間像なのかもしれません。

(余談:一方で、ジェンダー論の立場からはどんな読み方ができるのか、別の見方ができるのかもしれないという興味はあります)

初読のときは、キクの生き方に憧れていた自分がいたと思います。初恋の人をしたい続けて、自分の体までも尽くしながら命を燃やす。そして命が尽きたあとも、人々の心を打って輝き続ける。

遠藤周作は「日本人の立場からの信仰」をテーマに著作活動をしていました。確かに日本文化の中でのキリスト教のありようについて、考えさせられる場面は次々に出てきます。

ただ、どうも私が読むと、「女としてのはかなさや美しさ」につい酔ってしまう傾向がある気もします。キクとの共通点を拾い出しては、自分を美化して満足しているのに気づくのです。

確固とした自我を持てずに生きている。その現実は、なさけなさと哀しさも響かせています。

→遠藤周作の他の作品:
  ・『海と毒薬』 (2005/01/11の記事
  ・『深い河』 (2012/02/20の記事

(書店で購入・背表紙幅:1.9cm)

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