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流れ星による読書日記。大学在学中に200冊を読破。現在のべ900冊目に突入中! 目指すは…1000冊?
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流れ星
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文学部在学中に223冊を読破。

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201冊目!

バーティミアス プトレマイオスの門 バーティミアス 3
プトレマイオスの門

ストラウド
訳:金原 瑞人 松山 美保

理論社 2005-12-08


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(原題:Bartimaeus III  Ptolemy's Gate)

「これまでの常識がくずれつつあるのよ、マンドレイク。その状況に順応できる者だけが、勝ち残っていく。あたしは勝ち残るつもりよ。あんたはどうなの?」 (p. 453)

物語の重要なキャラクター、キティという女の子の台詞です。なんだか私自身にも問われてる気がして、何度読んでも心に響くものがあります。

ネタバレしないように気をつけて感想を書いてみます。

帯にあったように、3部作のクライマックスは読者の想像を超えるものでした。魔術師と、妖霊たちと、一般人たち。この大きな3つの勢力の対立構図を、最も鮮明に描いたのがこの第3巻だと思います。

そしてそれぞれの勢力の象徴的な代表として、ナサニエル・バーティミアス・キティの3人が登場しています。彼らのそれぞれの力は弱いながらも、協力していくうちに彼らの心情も変化していく様子が読みどころです。そしてこの点に、作者のストラウドのメッセージも込められているのではないでしょうか。

現実に私が暮らしているこの世界でも、政治面・社会面・国際外交面で様々な問題を抱えています。権力を持ち、政治を動かす政治家たちと、その下で暮らす一般市民。この二者の意識には大きな差があることも、ストラウドは物語の中で示唆しています。

キティが登場する最後の場面は、そんな二者がこれからどうしていくべきなのかが示されていると言ってもいいと思いますね。

そんな意味では、同じ「魔法」がテーマのファンタジー文学でも、ハリーポッターシリーズとは大きく趣向が違います。ハリーでファンタジーにハマった方には、是非読んでほしい作品です。

(実家から借りて)

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162冊目!

琥珀の望遠鏡(上) 琥珀の望遠鏡(下) 琥珀の望遠鏡

フィリップ プルマン Philip Pullman
訳:大久保 寛

(新潮文庫) 新潮社 2004-06


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旧約聖書・創世記3章とミルトンの『失楽園』の雰囲気が色濃く反映される。ライラはイブに、ウィルはアダムの立場に置かれ、誘惑されたライラがどんな判断を下すかで世界の行く末が決まる・・・。

結果的には、3部作を通じて無神論的な世界観が描かれていた。死んだら天国へ行くと堅く信じていた人々がたどり着いたのは「死者の国」。かつての肉体は失われ、楽しみもなくさまよい続ける人々の絶望がありありと表現されていて、ライラとウィルは一体どんな行動を起こすのか気がかりだった。

1作目に比べてライラも成長したなと思う。言葉遣いとか、行動とか。その証拠に、彼女のダイモンも姿を変えるのをやめて1つの固定した姿に落ち着く。想像を絶するような冒険や戦いを通じて、大人っぽくなった。

解説を読んだら、この物語が象徴していることがもっとはっきりとわかった。作品の中で、ライラが堕落すると予言によって知った教会がなんとしてもライラを殺して「地上の楽園」を実現させようとする。頻繁にイブが非難され、「あの女1人のせいで我々人間は罪を負うことになった」と強い嫌悪感がにじみ出ていた。

けれども、暗殺は失敗に終わってしまった。予言通りライラは誘惑を受け、下した判断は世界を変えた。失楽園が再現されるという結末には驚いたものの、筆者はそれを肯定的にとらえているようだ。

宗教やある種の固定観念は、人の視野を狭めてしまう。この世に罪が蔓延していると考えるからこそ、そこには絶望しか残らなくなる。イブが堕落したことは悲劇だったかもしれない。でもエデンの園から追放されて初めて、人間は神という束縛から解き放たれて、地上に自らの楽園を自由に作り出せるようになった。

この解釈、実際の神学にあてはめるには無理があるかもしれないけど、面白い考えだと思うな。

それから、この作品は映画化が決定しているそう。ハリー・ポッターやロード・オブ・ザ・リング、ナルニア国物語に続いてこれから話題になっていくこと間違いなし。映像化が楽しみ☆

(C市図書館で借りて)

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157冊目!

神秘の短剣(上) 神秘の短剣(下) 神秘の短剣

フィリップ プルマン Philip Pullman
訳:大久保 寛

(新潮文庫) 新潮社 2004-01


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この巻から登場したのが、表紙に描かれている男の子、フィル君。ライラが「真理計」を持っているのと対応して、彼は「神秘の短剣」の守り人となる。彼もまた数奇な子ども時代を経て思春期に入ろうとしているけど、ライラよりも1つ年上のせいか落ち着きがあるお兄さんといった感じ。

「真理計」同様、「神秘の短剣」を狙う者同士で争いが絶えない。その中、短剣を使いこなして立ち向かっていくフィルは孤独だけれども凛々しい。知らず知らずのうちに、自分の運命に導かれているところが物悲しくもある。

前作よりも登場人物が増えて、戦いの規模も大きくなってる。天使が出てきたり魔女が出てきたり、予言によってライラとフィルの正体が明かされたり。面白ーい。

(C市立図書館で借りて)

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153冊目!(「2004年新潮文庫の100冊」84冊目)

黄金の羅針盤(上) 黄金の羅針盤(下) 黄金の羅針盤

プルマン Philip Pullman
訳:大久保 寛

(新潮文庫) 新潮社 2003-10


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イギリスのファンタジー小説が新潮文庫で読めるとは!…軽くショックを受けた。「ハリー・ポッター」「バーティミアス」と同じように、主人公は両親と離れて育てられる。彼女の住む世界は私達の世界と似ているけれども、どこか違っていて、不思議な生き物達や道具、民族と関わりながら冒険が続く。

どちらかといえば大人向きの作品だと思う。なぜなら、この作品のテーマの1つは「大人になること」だから。この作品で書かれる世界では、人間はみな「ダイモン」という守護精霊を持っている。子供の間、ダイモンはその子の気持ちに反応して様々な生き物の姿をとるけれど、大人になると姿形が1つに定まってしまう。これって何かの象徴じゃないかな?

「真理計(アレシオメーター)」を使いこなす主人公がどこかかっこいい。でも特にヒーローめいた印象を感じないのは、主人公がおてんばでいたずら好きな女の子だからかも。

「いつかはおまえも大人の女性になる日がやってくるんだよ」

周りの大人にそう言われても嫌がるくせに、友達を思いやり大切にする心は女の子らしくてかわいい。

全部で3部作のシリーズ。結構読み応えあるぞ~!

(C市図書館で借りて)

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71冊目!

バーティミアス2 ゴーレムの眼 バーティミアスII
ゴーレムの眼

ジョナサン・ストラウド
訳:金原 瑞人 松山 美保

理論社 2004-11-24


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(原題:The Golem's Eye)

ナサニエルかっこいいー!黒のスーツ着てエリート道まっしぐら。ちょっと生意気なとこもあるけど、彼の気持ちもよぉくわかる。

3部作の2冊め。1冊目よりもこっちの方が面白い。でも1冊目を読んでいないとこっちの話の展開についていけないかも。

1冊目ではただの脇役にすぎなかったキティという女の子。彼女の目線からも物語が進んでいて、
この物語の別の主人公として読むこともできる。不合理だらけの生活への不満はそのまま日本政府にもぶつけたくなるほど。

3冊目ではどんな形で物語が完結するのか、検討もつかない。今から出版がとても楽しみ。

(実家から借りて)

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51冊目!

バーティミアス サマルカンドの秘宝 バーティミアス-サマルカンドの秘宝
ジョナサン・ストラウド
金原 瑞人 松山 美保

理論社 2003-12-13


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数年中に映画化されるらしい。確かに、迫力満点の映像が作れそうな描写ばかりで面白かった。(むやみに映像化するのもどうかと思うけどな。目で文字を追って、その様子がありありと頭の中に浮かぶような、巧みな文章で書かれているからこそこの作品が評価を受けているんだろうに。)

主人公の男の子が魔術師で、しかも一般人とは違う特徴をもっていて、孤立したやりきれなさにとんでもない行動に出る…。どうしてもハリーポッターと同じパターンに見えて仕方ない。

ただ、「魔法使い」と「魔術師」の違いがあったり(「魔法使い」は生まれつき魔法を扱う素質をもっている。でも「魔術師」は修行さえすれば誰でもなれる…んだと解釈できる)、主人公とペアになっている妖霊(ジン)の視点からも物語が描かれていたりして、ただ真似しただけの作品でもなさそう。

舞台はイギリス。物語の中では政治を魔術師たちが握っているという設定で、政府を痛烈に批判する箇所がいくつも登場する。日本の政治家たちに読ませたら、どんな反応がかえってくるだろう。

(実家から借りて)

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