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流れ星による読書日記。大学在学中に200冊を読破。現在のべ900冊目に突入中! 目指すは…1000冊?
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 プロフィール 
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流れ星
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女性
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アルバイト
趣味:
読書
自己紹介:
文学部在学中に223冊を読破。

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162冊目!

琥珀の望遠鏡(上) 琥珀の望遠鏡(下) 琥珀の望遠鏡

フィリップ プルマン Philip Pullman
訳:大久保 寛

(新潮文庫) 新潮社 2004-06


by G-Tools
旧約聖書・創世記3章とミルトンの『失楽園』の雰囲気が色濃く反映される。ライラはイブに、ウィルはアダムの立場に置かれ、誘惑されたライラがどんな判断を下すかで世界の行く末が決まる・・・。

結果的には、3部作を通じて無神論的な世界観が描かれていた。死んだら天国へ行くと堅く信じていた人々がたどり着いたのは「死者の国」。かつての肉体は失われ、楽しみもなくさまよい続ける人々の絶望がありありと表現されていて、ライラとウィルは一体どんな行動を起こすのか気がかりだった。

1作目に比べてライラも成長したなと思う。言葉遣いとか、行動とか。その証拠に、彼女のダイモンも姿を変えるのをやめて1つの固定した姿に落ち着く。想像を絶するような冒険や戦いを通じて、大人っぽくなった。

解説を読んだら、この物語が象徴していることがもっとはっきりとわかった。作品の中で、ライラが堕落すると予言によって知った教会がなんとしてもライラを殺して「地上の楽園」を実現させようとする。頻繁にイブが非難され、「あの女1人のせいで我々人間は罪を負うことになった」と強い嫌悪感がにじみ出ていた。

けれども、暗殺は失敗に終わってしまった。予言通りライラは誘惑を受け、下した判断は世界を変えた。失楽園が再現されるという結末には驚いたものの、筆者はそれを肯定的にとらえているようだ。

宗教やある種の固定観念は、人の視野を狭めてしまう。この世に罪が蔓延していると考えるからこそ、そこには絶望しか残らなくなる。イブが堕落したことは悲劇だったかもしれない。でもエデンの園から追放されて初めて、人間は神という束縛から解き放たれて、地上に自らの楽園を自由に作り出せるようになった。

この解釈、実際の神学にあてはめるには無理があるかもしれないけど、面白い考えだと思うな。

それから、この作品は映画化が決定しているそう。ハリー・ポッターやロード・オブ・ザ・リング、ナルニア国物語に続いてこれから話題になっていくこと間違いなし。映像化が楽しみ☆

(C市図書館で借りて)

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