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流れ星による読書日記。大学在学中に200冊を読破。現在のべ900冊目に突入中! 目指すは…1000冊?
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文学部在学中に223冊を読破。

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119冊目!

女の一生〈1部〉 女の一生〈1部〉キクの場合
遠藤 周作

(新潮文庫) 新潮社 1986-03


by G-Tools
ミッション系の高校に通っていた頃、研修旅行で長崎を訪れたことがあります。直前の「宗教」の授業で、「浦上四番崩れ」について学び、先生が参考資料として挙げていたのがこの本でした。

(※「浦上四番崩れ」…明治政府発足直後、長崎の隠れキリシタンたちが一斉に検挙され、流罪・迫害された事件)

当時はキリスト教に興味を持ち始めていた頃で、先生からお借りして夢中で読んだのを覚えています。主人公のキクが、浦上天主堂のマリア像にたびたび話しかける場面が印象的でした。実際にそのマリア像を見たとき、なぜかしばらく動けませんでした…。

大河ドラマ「龍馬伝」の第3部に入って、舞台の中心が長崎になりました。テレビ画面に映る浦上天主堂を見て、この作品のことを思い出し、もう一度読みたくなって本屋で手に取りました。
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大まかなあらすじは覚えていたけれど、5年以上間隔が空いていたせいか新鮮な感覚で読めたと思います。時代背景や人々の交錯する思いが細かく読み取れるようになって、後半のクライマックス部分は予想以上に心に響きました。

時代の流れに翻弄される愛、家族に反対される未来、貧しく労働が続く生活、病で次第に動かなくなる体…。

キクの姿と自分を重ねてしまうのは、傲慢(ごうまん)でしょうか?

たび重なる障害に耐えながら、たった一人の愛する人のために生きようとした主人公。そのひたむきな姿勢は、まさに女性だからこそ描ける人間像なのかもしれません。

(余談:一方で、ジェンダー論の立場からはどんな読み方ができるのか、別の見方ができるのかもしれないという興味はあります)

初読のときは、キクの生き方に憧れていた自分がいたと思います。初恋の人をしたい続けて、自分の体までも尽くしながら命を燃やす。そして命が尽きたあとも、人々の心を打って輝き続ける。

遠藤周作は「日本人の立場からの信仰」をテーマに著作活動をしていました。確かに日本文化の中でのキリスト教のありようについて、考えさせられる場面は次々に出てきます。

ただ、どうも私が読むと、「女としてのはかなさや美しさ」につい酔ってしまう傾向がある気もします。キクとの共通点を拾い出しては、自分を美化して満足しているのに気づくのです。

確固とした自我を持てずに生きている。その現実は、なさけなさと哀しさも響かせています。

→遠藤周作の他の作品:
  ・『海と毒薬』 (2005/01/11の記事
  ・『深い河』 (2012/02/20の記事

(書店で購入・背表紙幅:1.9cm)

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