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流れ星による読書日記。大学在学中に200冊を読破。現在のべ900冊目に突入中! 目指すは…1000冊?
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流れ星
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女性
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読書
自己紹介:
文学部在学中に223冊を読破。

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60冊目!

「心の傷」は言ったもん勝ち 「心の傷」は言ったもん勝ち
中嶋 聡

(新潮新書) 新潮社 2008-06


by G-Tools
中嶋さんは、父の大学時代の友人で精神科医だそうです。うつの理解のために読んだはずが、社会学的側面まで掘り下げて書かれてあるので正直びっくり…を取り越して圧倒され、思わず色々考えさせられました。

著者はこの20年の間に浸透した「セクハラ」「PTSD」「適応障害」「パニック障害」「うつ病」などを切り口に、現代の日本には「被害者帝国主義」が広まっていると指摘します。つまり、現代は「相手がセクハラだと言ったらそれはセクハラだ」という言い分がまかり通ってしまう世の中になってしまったということです。

この過剰な被害者意識の問題点は、戦後直後には考えられなかったような痴漢冤罪、医療訴訟にまで発展していること。社会のどんな分野の世界でも、「傷ついた」といえば同情を得ることができ、被害者が加害者よりも優位に立つための絶対的な権力を手にすることができる。これはおかしいのではないかというのが本書の趣旨です。

「被害者=善、加害者=悪という単純な二分法的思考にもとづいて、感情的反応に走ることは、慎むべきだと思います。そしてまた、ともすれば生じうる、被害者アイデンティティーの権力化と、その疾病利得化にも、注意を怠ってはならないでしょう」(p. 133)

読みながら、自分がうつ病と診断される前後のことを思い出して反省しました。私も、中嶋さんが紹介するように「自分の病気は職場のせいだ、上司のせいだ」と、自分が病人で弱い立場にあることを利用して責任転嫁することしか考えていませんでした。

昔の日本人なら我慢してぐっと耐えるだけの免疫があったのに、今はみんな精神力が弱くなってきてしまっている。そして、「心の傷」を武器に責任を押し付け合う。最初は中嶋さんの主張に「考え方が古いんじゃないの」と思ってしまいましたが、読み終わる頃には危機感すら覚えました。

傷ついたと思ったら、まずは正直にありのままを受け入れること。人のせいにせず、相手の立場に立って考えてみること。何もかもマルかバツかの二択で考えるのではなく、おおざっぱな面もよしとすること。

最終章で述べられている「精神力を鍛える」方法は、勝間和代さんの『インディペンデントな生き方 実践ガイド』(→2009/06/01の記事)で紹介されていた「じょうぶな心を作る」方法と重なっていました。精神科の立場からも裏付けられた形ですね。

(実家で借りて・背表紙幅:1.0cm)

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