忍者ブログ
流れ星による読書日記。大学在学中に200冊を読破。現在のべ900冊目に突入中! 目指すは…1000冊?
 カレンダー 
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
6 7 8 9 10 11
12 13 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
 ブログ内検索 
 プロフィール 
HN:
流れ星
性別:
女性
職業:
アルバイト
趣味:
読書
自己紹介:
文学部在学中に223冊を読破。

各記事TOPの
「○○冊目!」…在学中
「○○冊目!」…卒業後
もうすぐ通算650冊に到達予定。
 カテゴリー 
 P R 
 Amazon 
[1]  [2]  [3]  [4
612冊目!
(2012・新潮文庫の100冊)
アカペラ アカペラ

山本 文緒

(新潮文庫) 新潮社 2011-07-28

by G-Tools
中編作品3本を集めた1冊。どれも家族をテーマにしていますが、個性のある家庭ばかり。登場人物たちは皆、家の中や社会での立場に悩みを抱えていて、決して深刻ではないけれど模索の日々を送っています。

私は今でも、朝起きる間際に実家にいる感覚に襲われることがあります。自ら望んで家を出てきたのに、無意識では家族に連れ戻されるのではないかと不安な気持ちが抜けていないのかもしれません。

多くの人々にとって、家は安全で自分を守ってくれる場所です。しかし家庭の形が多様化する現代、一部の人にとっては必ずしもそうではありません。

誰も守ってくれないのなら、自分で自分を守るしかない。一人で大声で叫ぶしかない。「アカペラ」というタイトルには力強さと共に心細さや寂しさも感じてしまう私です。

(古本屋で購入・背表紙幅:1.2cm)

拍手[0回]

PR
609冊目!
(2012・新潮文庫の100冊)
一握の砂・悲しき玩具 一握の砂・悲しき玩具

石川 啄木
解説:金田一 京助

(新潮文庫) 新潮社 1952-05-19

by G-Tools
宮沢賢治は啄木の影響を受けて著作活動を始めたと知り、啄木の作品をいつか読んでみたいと思っていました。同じ岩手の出身とあってか、自然や季節を見つめる目には共通のものがある印象です。

・・・と言っても、この歌集を読んでいると「寂しさ」「悲しさ」が強く感じられ、賢治の童話や「雨ニモマケズ」とは明らかに異なる作者像がうかがえます。裕福な家庭に生まれて才能がありながら、家族を養うために金作を強いられた過酷な人生。自分はなんてダメな男なんだ、と繰り返す根底に強烈な絶望を感じました。

国語の教科書でも石川啄木の短歌に触れることはできます。しかし、初めて私が啄木の歌を読んだとき、ここまで激しい哀しみやせつなさを感じた記憶はありません。

(F市図書館で借りて・背表紙幅:1.0cm)

拍手[0回]

602冊目!

ジーキル博士とハイド氏 ジーキル博士とハイド氏

スティーヴンソン Robert Louis Stevenson
訳:田中酉二郎

(新潮文庫) 新潮社 1967-03-02

by G-Tools
(原題:The Strange Case of Dr. Jekyll and Mr. Hyde)

新潮文庫から新訳が出ました。そちらも気になるけど、従来の田中訳で1度復習のつもりで読み直しです。

二重人格の代名詞と呼ばれる作品ですが、現代の心理学からいうと厳密には二重人格の定義には当てはまらないようです。多重人格の場合、それぞれの記憶は共有していませんが、ジーキル(新訳ではジキル)とハイドは互いに共通の記憶を持ち、筆跡も似ています。

薬によって人格が変わるという点からみても、現代ではSFとして読むことができる作品になりつつあるのではないでしょうか。どこから見ても優等生・紳士的な人物が、手軽に調合した薬を服用しただけで醜い小男に変身できるなんて、現代の科学でも夢物語です。

魔法のような薬を登場させ、1人の男の善と悪の葛藤を劇的に描いたこの小説は、読者に鮮烈な印象を残し続けて今に至っています。人間は誰もが心の中に二面性を持ち、日々闘いながら生きていることを強烈に思い出させる作品です。

→著者の他の作品:
  ・『宝島』 (2005/01/19の記事

→作者について書かれている本:
  ・『物語る人』 (2005/01/12の記事

(F市図書館で借りて・背表紙幅:0.8cm)

拍手[0回]

591冊目!
(2012・新潮文庫の100冊)
檸檬 檸檬

梶井 基次郎

(新潮文庫) 新潮社 2003-10

by G-Tools
パブロフの条件反射の例として、梅干しがよく挙げられます。梅干しを見たり想像したりすると、酸味や風味を無意識のうちに思い出し、唾液の分泌が促進されるというものです。

同じく酸味の強い食品として、レモンでも同じことが起こる人は多いのではないでしょうか。梅干しは日本の食材なので、レモンの方が他文化では一般的かもしれません。

今年の夏は、「塩レモン」や「レモン風味」をうたった期間限定の菓子や清涼飲料が多かった気がします。暑い夏でも、食品メーカーはレモンのさわやかさを打ち出して販売促進を目指したのだと思います。

レモンという言葉から私たちが想起するのは、酸味だけではありません。皮の冷たさや独特の紡錘形、その場の空気も浄化するような黄色よりも明るい色。梅干しよりも五感をより刺激してくれる食品に思えます。

そのレモンをタイトルにしたこの1冊。著者はとても繊細な感性を持つ人物だったのだと、改めて感じました。

→他の出版社の版:
  ・『檸檬』 角川文庫版 (2005/01/09の記事

(F市図書館で借りて・背表紙幅:1.3cm)

拍手[0回]

575冊目!

アミダサマ アミダサマ

沼田 まほかる

(新潮文庫) 新潮社 2011-11-28

by G-Tools
「あるのはただ、(中略)無数の昨日と区別もつかない無数の今日」(p. 77)

元僧侶という作者が書く作品。冒頭にお経の言葉がたくさん出てきたので、難しい話なのかと少し肩に力が入りました。ところが、中盤では俗(?)の生活が中心に描かれ、読み始めの印象とは大きく違う世界に引き込まれるようでした。

「子供は、自分自身の願望しか信じない。願望の上に築き上げた、いびつな妄想世界を生きようとする」(p. 346)

聖書、特にキリスト教の教えでは「子供のように無条件に神に従う」ことをすすめています。成熟した大人よりも、純粋な子供のようでいることが良しとされているわけです。しかし、上の引用部分では全く異なる指摘がされていて、驚きました。

(F市図書館で借りて・背表紙幅:1.5cm)

拍手[0回]

561冊目!
(2012・新潮文庫の100冊)
しゃばけ しゃばけ

畠中 恵

(新潮文庫) 新潮社 2004-03-28

by G-Tools
著者の人気シリーズに挑戦。書店では10巻目まで並んでいるのを見ましたが、このおもしろさだと一気に読み進めることができそうです。

江戸時代の人々を生き生きと描写しているのはもちろん、さまざまな妖(あやかし)たちが次々に登場して始終にぎやかです。水木しげるさんや京極夏彦さんの作品とは違って、不気味さはなし。主人公・一太郎の生活の一部になっている様子が自然に表現されています。

→「しゃばけ」シリーズ:
  1.しゃばけ
  2.ぬしさまへ (2016/11/23の記事
  3.ねこのばば (2017/02/18の記事
  4.おまけのこ (2017/04/23の記事
  5.うそうそ (2017/07/30の記事
  6.ちんぷんかん (2018/10/27の記事
  7.いっちばん (2021/04/20の記事
  8.ころころろ (2024/04/20の記事

→著者の他の作品:
  ・『つくもがみ貸します』 (2008/05/23の記事
         角川文庫版 (2017/10/11の記事
  ・『ゆめつげ』 (2015/10/10の記事
  ・「太郎君、東へ」 "Fantasy Seller" 収録 (2015/06/21の記事

(F市図書館で借りて・背表紙幅:1.3cm)

拍手[0回]

Template by ららららいふ / Material by 素材くん「無料WEB素材屋」

忍者ブログ [PR]