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流れ星による読書日記。大学在学中に200冊を読破。現在のべ900冊目に突入中! 目指すは…1000冊?
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 プロフィール 
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流れ星
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アルバイト
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読書
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文学部在学中に223冊を読破。

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もうすぐ通算650冊に到達予定。
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649冊目!
(2012・新潮文庫の100冊)

螢川・泥の河

宮本 輝

(新潮文庫)新潮社 2005-11-10

戦後の日本。高度経済成長期に入る前の様子は、映画やドラマでいくつか観たことがあります。ほとんどは東京を舞台にしたもので、大阪のものは初めて読みました。終戦直後の混乱期、生活は貧しいけれど、人々はたくましく暮らしている印象があります。

収録されている作品は2つ。どちらも「川」「河」が題名につき、作中でも大きな役割を果たしています。当時の生活の場の一部であり、命を養い、ときに命を奪います。現代の近所の川は岸をコンクリートで固められて、私たちの生活から切り離されているのではないでしょうか。文中に描写された水辺の情景は、私がイメージする川よりもずっと身近で、人々の生活の生々しさがより直感的に伝わってきます。

→著者の他の作品:
  ・『錦繍』 (2005/04/01の記事

(F市図書館で借りて・背表紙幅:0.9cm)

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647冊目!
(2012・新潮文庫の100冊)
春琴抄
春琴抄
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谷崎 潤一郎

(新潮文庫) 新潮社 (2013-08-09)
薄くて読みやすそうだと思ったら、内容が濃すぎました。予想よりも読み終わるまでかなり時間かかった・・・。

盲目の三味線名人の女性と、弟子で世話係の年下の男性のお話。数十年にわたる二人の関係は、(本文中にもあるように)単なる師弟とも家族とも夫婦ともつかない、異様さを持っています。ところが本人たちは異常さに気づく様子もなく、むしろ年を追うごとに幸福そうです。

谷崎の他の作品は数作しか目を通していませんが、視覚障害者を中心とした作品は珍しいのではないでしょうか。見えないために失ったものと、見えなくても手放そうとしないものの対比は鮮烈で、クライマックスの衝撃的な場面がより強く印象に残っています。

→著者の他の本:
  ・『痴人の愛』 (2005/01/21の記事
  ・『猫と庄造と二人のおんな』 (2009/06/11の記事

(F市図書館で借りて・背表紙幅:0.6cm)

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646冊目!
(2012・新潮文庫の100冊)
金閣寺
金閣寺
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三島 由紀夫

(新潮文庫) 新潮社

仕事中にこの作品に触れたのがきっかけで、もう1度読み返すことにしました。初めて読んだときはひたすら字面を追うことに必死で、ほとんど内容を正確に覚えていなかったのが恥ずかしいです。

主人公が吃音の悩みを抱え、母親や女性に対し歪んだ感情を持っていたこと。戦中・戦後の時代背景もあって心の中に数多くの矛盾を膨らませてから放火を決心したこと。

彼の行動は周囲から見れば突飛だけれど、彼の生い立ちから時系列に追っていくと全ては理屈が通っています。三島の創作も含まれているとはいえ、金閣寺への思いがまさに炎となって燃え上がるまでの過程が丁寧に描写されているのを感じました。

仏教用語や仏教(特に禅宗)の世界観も大きく反映されています。

→この本について触れている本:
  ・齋藤 孝 『だれでも書ける最高の読書感想文』 (2015/07/02の記事

→著者の他の作品:
  ・『仮面の告白』 (2008/08/20の記事
  ・『金閣寺』1回目 (2005/02/12の記事
  ・『三島由紀夫レター教室』 (2011/10/17の記事

(F市図書館で借りて・1.5cm)

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643冊目!
(2012・新潮文庫の100冊)

藤村詩集
藤村詩集
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島崎 藤村

(新潮文庫) 新潮社

近代の短歌を中学生に教えていて藤村の作品が出てきました。俳句や短歌、詩は特にそうですが、背景も踏まえて作品解説をすると内容を理解してもらいやすい印象です。

俳句や短歌を書くという行為は、現代のSNSに通じるものが大きいと思います。日常生活で思ったことをいかに短い言葉で記録していくか、技法や手段は異なっても人々が興じる思いは同じように見えます。

逆の見方をするなら・・・今ネット上にある些細な書き込みの一部が、将来国語の教材に採用されることもあるかもしれません。

(F市図書館で借りて・背表紙幅:1.0cm)

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642冊目!
(2012・新潮文庫の100冊)
ロング・ロング・アゴー

重松 清

(新潮文庫) 新潮社 2009. 7. 1

先日『きよしこ』を読んだばかりですが、『疾走』と合わせて「重松さんの作品っておもしろいかも」と思うようになりました。

このブログを始めた当初、『エイジ』や『ナイフ』を読んで今ひとつピンと来なかったのを記憶しています。少年犯罪や非行をテーマにした作品が強烈すぎたのかもしれません。

(高校入試の国語の問題では重松さんの作品がときどき使われています。中学生に読ませたい場面、感想を聞いてみたい部分が多く、個人的に読んでおいてよかったと思うことは多いです)

話を戻して、「疾走」「きよしこ」「ロング・ロング・アゴー」では時間の流れや大人がふり返る子ども時代が主題として強くにじみ出ている気がします。私自身、育った土地を離れて10年以上がたち、景色が記憶と大きく変わっているのを目にして戸惑いました。

子どもの頃のなじみある町は、文字通り「遠い昔」になってしまったようで寂しい。。。

→著者の他の本:
  ・『エイジ』 (2005/07/19の記事
  ・『ナイフ』 (2006/04/16の記事
  ・『きみの友だち』 (2015/08/23の記事
  ・『せんせい。』 (2015/10/04の記事
  ・『疾走』 (2017/10/27の記事
  ・『きよしこ』 (2019/03/03の記事

(F市図書館で借りて・背表紙幅:1.5cm)

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640冊目!
(2012・新潮文庫の100冊)
きよしこ
きよしこ
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重松 清

(新潮文庫) 新潮社

主人公は吃音をもつ男の子。彼は家族と共に引越し、度重なる転校を繰り返しながら、異なる町の風景と人々の文化を学んで成長していきます。

私も引越しと転校を経験し、その結果がよくも悪くも今の自分を形成していると痛感します。初級英語の教科書に "Where are you from?" と書かれているのを目にするたび、「私はどこ出身なんだろう」と考え込んでしまいます。

読みながら、ある生徒のことをずっと考えていました。その生徒には吃音はありませんが、何年か前に大きな転居を経験して、文化の違いに多少なりとも驚いたはずです。

その時、ご家族は戸惑う心を受け止めてあげられただろうか。新しい友達ができて、すぐに地域になじめたのだろうか。今の本人はとても明るくて、授業中の冗談にも声を上げて笑ってくれますが、私は当時のことをまだ直接尋ねる勇気がありません。

どんなに柔和な表情であっても、その生徒の目にはときどきふっと悲しそうな光が宿ります。本当はもっと何かを他人に伝えたいのに、どんな言葉を並べればいいのかわからない・・・。先生、何て言えばいいの? この気持ちはどんな文で説明すればいいの? 助けを求めて困っている顔に見えるのです。

大学で言語学や文学を勉強した甲斐もあってか、これまでは言葉の持つ力を信じて教育の仕事を進めてきました。でも時には言葉は無力で、何の役にも立たない場面すらこの世にはあるのだと最近思うようになりました。

→著者の他の本:
  ・『エイジ』 (2005/07/19の記事
  ・『ナイフ』 (2006/04/16の記事
  ・『きみの友だち』 (2015/08/23の記事
  ・『せんせい。』 (2015/10/04の記事
  ・『疾走』 (2017/10/27の記事
  ・『ロング・ロング・アゴー』 (2019/03/27の記事

(F市図書館で借りて・背表紙幅:1.2cm)

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